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COLUMN

院長コラム

栄養の消化吸収について

大阪市福島区で産婦人科、栄養療法をしている レディースクリニック THE NEW WAVES 福島・梅田 です。
前回は女性に大切な栄養素、鉄についてお話ししました。
今回はそれらの栄養素の消化吸収について、お伝えします。特に今回は栄養素の吸収についてです。

 

【消化・吸収がすべての基本】

どんなに良い栄養素を摂っても、消化・吸収がうまくいかなければ体に届きません。
消化とは、食べたものを体中の細胞が使える小さな分子に分解する過程です。
吸収とは、その小さな分子が血液やリンパ液に取り込まれる過程のことで、健康状態やライフスタイルによって効率が大きく変わります。
まず今回は「消化」についてです。

 

【口の健康は消化吸収の入り口】

消化は口から始まります。
唾液腺から分泌される唾液中に含まれるアミラーゼと食べ物が混ざりあうことでで化学的消化を、歯で噛み、すりつぶすことで物理的消化を行っています。
歯を失ったり、口腔内のトラブルで十分に噛めない状態になると、食欲が低下し栄養の吸収も低下して低栄養につながります。

歯を失う原因の多くは虫歯よりも歯周病が多いといわれています。
実は歯周病は、口の中だけの問題ではなく、以下の全身疾患と深く関連しています。
・リウマチ・骨粗鬆症
・糖尿病・動脈硬化
・不妊症・流早産
歯周病による慢性炎症がおきることが、他疾患にもかかわってくるのです。
口腔ケアは全身の健康を守ることでもあります。
妊婦健診受診表の中にも、妊婦歯科検診受診券があるのは、口腔内トラブルを未然に防ぐことで、流早産のリスクを減らすことにつながることが目的です。
定期的な歯科受診を心がけましょう。

 

【胃の役割|「倉庫」と「殺菌装置」】

胃は食べたものを一時的にためておく「倉庫」の役割を持ち、小腸への急激な流入を防いで消化を調整しています。
一時的に貯めている間に、胃酸で食べ物を消化していきます。この機能が低下すると、腸のトラブルや、血糖値スパイクの原因になることがあります。

胃酸はなぜ大切?
胃液はpH約2という強い酸性で、以下の重要な役割を果たしています。
・食材に含まれる細菌を殺菌する
・ペプシノゲンをペプシン(タンパク質分解酵素)に変換する
・セクレチン(膵液の分泌を促すホルモン)の分泌を促す

胃酸が適切に分泌されることで、タンパク質・脂質・糖質すべての消化吸収がスムーズになります。
また、前回コラムの主役、鉄分も胃酸の働きで吸収しやすい形となります。

逆に、胃酸を抑える薬を長期服用している場合は、タンパク質の消化力が低下している可能性があります。

タンパク質の消化がうまくいかずに小腸、大腸へと流れていくと、吸収がうまくできずにお腹が張るなどの症状につながることがあります。

鉄分も、小腸上皮で吸収されやすい形にならず、その結果大腸の腸内細菌のバランスを乱してしまい、便秘や腹部の張り感につながることがあります。

栄養を活かすためには、できるだけ胃酸を正常に分泌できる状態を保つことが大切です。

また、ストレスがかかることも、胃酸の分泌が乱れ、胃への血流が低下して胃の働きが落ちます。

ストレスで胃が痛い、とはこの状態を表現していますね。食事はできるだけリラックスした状態でとることが、消化機能を守るうえでとても重要です。

 

【ピロリ菌と胃がん・SIBO|慢性炎症が引き起こすもの】

1980年代に発見されたヘリコバクター・ピロリ菌は、慢性胃炎・胃潰瘍・胃がんの主要な原因であることが解明され、消化器医療に大きな転換をもたらしました。
ピロリ菌感染が進む流れは以下のとおりです。
ピロリ菌感染 → 慢性炎症 → 萎縮性胃炎 → 腸上皮化生 → 胃がん
このためピロリ菌の除菌は非常に重要です。
ただし、ピロリ菌の感染により、すでに萎縮性胃炎が形成されている場合は、除菌だけでなく胃粘膜を正常な状態に戻すアプローチも必要になります。

なぜなら胃粘膜が萎縮することによって、ビタミンB12の吸収に必要な内因子が減少し、巨赤芽球性貧血の原因にもなるからです。

適切な栄養素の補充によって、萎縮した胃粘膜が徐々に回復するケースも確認されていますので、ピロリ菌感染の有無や萎縮性胃炎がないか、一度評価することをお勧めします。

慢性炎症とがんの関係は、子宮頸がん(HPV感染)やC型肝炎ウイルスによる肝がんとも共通しています。

炎症をコントロールし、原因となる菌やウイルスを除去することが、がん予防の基本です。

また、ピロリ菌は胃酸を薄めて胃内に生息します。
そのため、胃酸が少なくなる原因ともなり、食物内の雑菌が殺菌されず、小腸内に流れ込み、SIBO(小腸内細菌異常増殖症)との関連性も指摘されています。

お腹が張ったり、ガスやげっぷが多く出たりする、下痢と便秘を繰り返すなどの症状があるときは、呼気検査(自費診療)などで診断できます。
検査ができる施設が限られていますので、近隣の消化器内科などにご相談いただくことをお勧めします。

次回は栄養の「吸収」についてです。

当院では、女性医師が在中しており、栄養療法にも力をいれています。

土曜日は第2・4週、日曜日は第3週に診療しております。

お気軽にご相談ご予約お待ちしております。