院長コラム
性感染症
大阪市福島区で産婦人科、栄養療法をしている レディースクリニック THE NEW WAVES 福島・梅田 です。
前回は更年期症候群についてお話ししました。
今回は性感染症についてお伝えします。
外陰部・膣の炎症と性感染症について
膣には自分を守る仕組みがあります
外陰部や膣は体の外と接しているため、自浄作用(自分で清潔を保つ機能)が備わっています。
エストロゲンの働きで膣粘膜にグリコーゲンという物質が産生され、それを常在菌のデーデルライン桿菌が乳酸に変えることで、膣内を酸性に保っています。この酸性環境が、外からの菌や刺激から膣を守っています。

バランスが崩れると炎症が起きます
以下のような要因でこのバランスが乱れると、外陰膣炎を引き起こすことがあります。
・性感染症による菌の増殖
・生理用品による刺激
・尿などによる汚染
・エストロゲンの低下(更年期など)
よく見られる膣炎の種類
萎縮性膣炎
更年期によるエストロゲン低下で膣の自浄作用が弱まって起こります。
カンジダ膣炎
カンジダ菌(もともと体内にいる菌)が過剰に増殖することで起こります。
細菌性膣炎
複数の菌が異常増殖することで過剰な刺激が加わった状態です。
それぞれの原因に合った抗生剤などで治療します。
性感染症で最も多い「クラミジア感染症」
性感染症の中で最も多いのがクラミジア感染症です。
主な症状
・性交後2~3週間で発症することが多い
・水っぽいおりものが増える
・不正出血
症状が軽いため気づかないことも多いですが、放置して腹腔内に広がると、以下のような深刻な問題につながります。
・腹腔内の癒着による不妊症
・下腹部痛、上腹部痛

検査と治療について
検査方法
黄色いキャップのPCR検査キットを使用します。綿棒を2本使い、1本目で頸管粘液をぬぐい、2本目で子宮頸管の細胞を採取します。クラミジアは粘液ではなく、細胞の中に潜んでいるため、2本で採取することが正確な検出につながります。
治療方法
陽性の場合は抗生剤を内服します。その後、3週間後に治療確認の再検査を行います。
⚠️ 大切なこと│パートナーも一緒に検査を
クラミジアに限らず、性感染症はパートナーにも感染している可能性があります。以下の点を必ず守ってください。
・パートナーも必ず検査を受ける
・お互いが陰性を確認できるまで性行為を控える
どちらか一方だけ治療しても、もう一方が感染しているとお互いにうつし合いことを繰り返す「ピンポン感染」になってしまい、いつまでも完治しません。パートナーへの検査・治療の必要性をしっかりお伝えください。

淋菌感染症
性感染症の中で2番目に多い感染症です。
主な症状(感染後2~7日で発症)
・膿のようなおりもの
・かゆみ、下腹部痛、発熱
クラミジアとの混合感染も多く、不妊症との関連も指摘されています。そのため、クラミジアと同時にPCR検査を行います。
陽性の場合は抗生剤の点滴で治療し、3週間後に再検査を行います。

ヘルペス感染症
初感染時の症状
・外陰部に痛みを伴う水疱、びらん、潰瘍が形成される
・座れないほどの強い痛み
・鼠径部リンパ節の腫れ、圧痛
・排尿が困難になることもある
ヘルペスウイルス抗原検査で診断し、陽性の場合は抗ウイルス薬で治療します。
⚠️ ヘルペスは再発することがあります
ヘルペスウイルスは体内に潜伏し、免疫力が低下したときに再発することがあります。
再発時は初回より症状が軽く、ピリピリとした違和感や軽い痛み程度であることが多いです。ただし、再発頻度が高い場合は継続的な治療が必要になることがあります。また、症状が出たときにすぐ内服できるよう、あらかじめ薬を処方しておく方法もあります。
症状が出たらできるだけ早く受診してください。早く治療を始めるほど、回復も早くなります。

梅毒
最近、若い世代を中心に急増している性感染症です。
感染の経過
時期 症状
感染後約3週間 外陰部に痛みのない潰瘍が形成される(その後自然に消える)
感染後3ヶ月以降 全身にバラ疹(赤い皮疹)、脱毛、ゴム腫(柔らかいしこり)などが出現
痛みがなく、一度症状が自然に消えてしまうため、「治った」と勘違いして放置されやすいのが梅毒の怖いところです。実際には全身にはゆっくりと広がっていきます。
血液検査(抗原定性・定量)で診断し、ペニシリン系の抗生剤で治療します。早期発見が非常に重要です。
妊娠中の方は特に注意
梅毒は胎盤を通じて赤ちゃんに感染(先天性梅毒)する可能性があります。妊婦健診の初期検査で必ず確認しますので、見逃さないことが大切です。

尖圭コンジローマ
子宮頸がんの原因として知られるHPV(ヒトパピローマウイルス)が原因の性感染症です(ただし子宮頸がんとは別の型のウイルスです)。
主な症状
・外陰部、肛門付近にカリフラワー状、鶏冠状のいぼが出現
・かゆみや痛みを伴うこともある
視診や病理検査で確定診断を行い、治療法は発生部位によって異なります。
・外陰部:クリーム剤での治療
・粘膜部分:液体窒素による冷凍凝固、または電気メスによる外科的切除
⚠️目に見えない細胞レベルでウイルスが残っている場合、治療後も再発する可能性があります。症状の再発には注意し、気になるときはすぐにご相談ください。
そのほかの感染症
膣トリコモナス症
泡状のおりものや、においのあるおりものが特徴です。抗生剤の内服で治療します。
マイコプラズマ感染症
種類によって保険適用と自費となるものがあります。症状や状況に応じて検査を行います。
性感染症は自覚症状が少ないものも多く、気づかないうちに進行したり、パートナーにうつしてしまうことがあります。「もしかして?」と思ったら、一人で悩まず早めにご相談ください。

当院では、女性医師が在中しており、栄養療法にも力を入れております。
土曜日は第2・4週、日曜日は第3週に診療しております。
お気軽にご相談ください。